十万山の四季Ⅱ ユニクロ サイズM

十万山をほぼ毎日のようにマウンテンバイクで登るようになり,早1年半が経ちました。帰る途中のセブンイレブンで飲むアイスコーヒーは,格別の楽しみとなっています。2年目となった今では,季節毎の風と共に森の精気を楽しむ余裕も持てるようになってきました。ほぼ毎日のように同時刻に登るためか,家の外で庭の草引きなどしておられる山の手婦人会と思われる方々から,時々挨拶を返していただけます。 今年の桜の時季のことです。登りの途中,一旦追い越していった車がすぐにUターンして私の自転車の横に停車しました。「何か飲み物は持っておられますか?」と熟年女性ドライバーの方が,窓を開けて聞かれます。突然のことに躊躇して一旦は「いえ,大丈夫です。」と答えたのですが,私を追いかけてわざわざ来てくださったのだとすぐに気づき,ありがたく頂戴することにしました。焼きカレーパンとミルクティーのペットボトルのお接待です。大事に家まで持ち帰り,妻と一緒に頂きました。少し取り分け仏壇にもお供えしました。

 この1年間に十万山で鍛えた脚力が,どれくらい他でも通用するものか試したくなりました。まずは天草の山に挑戦です。マウンテンバイクを車に積んで移動し,登山道の麓から乗ります。倉岳を4回,老岳を2回,龍ケ岳,白岳にもチャレンジ。龍ケ岳以外は,案外あっさりと登ることができました。

 ふた昔前よく歩いて横断した苓北から志岐山超えで本渡へ至る苓北農道ルート(ビッグチャレンジルートというのだそうです。)を逆向きに,本渡の母宅から志岐を経由し海沿いにニ江の自宅まで。新たに購入したロードバイクでの不知火海沿岸(ロザリオライン)をゆく本渡,牛深間の往復。次第に天草島内だけでは物足りなくなりました。今年のゴールデンウィークには,4泊5日の日程で野間岬,枕崎,山川港からフェリーに乗り,鹿児島佐多岬までも行くことができました。

 ところで,この1年半の間に,自分でも驚くほど変わっていったものがあります。それは自分の「体型」です。「体格」と「性格」はなかなか変えられない!とよく日常診療の中で,患者さんたちに自ら説明してきたのにです。体重は,自転車に乗り出す前の86kgから68kgへと18kgの減少。すると体格が変化するにつれ,性格も変わってきたような気がするのです。(ものを捨てられない性格から,断捨離型の性格へ) ただ,親からもらった「骨格」だけは変わらないような気がして,いつリバウンドするか,やはり自信が持てません。景気の良い頃に買い漁ったブランド物の服は捨てきれずに取っております。ともかく,それまでの服が,下着類も含めて全てサイズが合わなくなってしまいました。懐具合がよくないため,新たに高額なスーツ類を購入するのは控えます。そこで,ユニクロの登場です。以前は,LLサイズなら横幅はなんとかなるのですが,裾が長すぎて着れませんでした。一方,裾や丈のちょうど良いMサイズでは,胴回りが合いません。いわゆる「帯に短し襷に長し」の状態でした。自然,普段着はスウエットやジャージとなっていました。医師会の先生方にも,見苦しい格好をいつも晒していたと思います。この場を借りてお詫びします。

 5月の連休もすぎた週末,博多へ出る機会がありました。博多駅周辺には,ユニクロの店が3〜4件散在しています。その中で最も大型店と思われる KITTE博多8階のユニクロへ行ってみました。爆買い中の中国人と思しき方々で,ごった返しています。スラックスパンツを買おうと思いましたが,自分のサイズがわかりません。ちょうど横を通りかかったユニクロの女性スタッフを呼び止め,ウエストサイズを測ってもらうことにしました。女性は床に膝まずき,慣れた手つきで測ってくれます。「79ー76ですね。」と言われました。79とはcmのことでしょうか。以前はウエストは100cmを超えていました。「どの色がお好みですか?」と尋ねられます。唖然としたまま「紺色」と返事すると,積み重なったスラックスの中から,同サイズのものを選びとってくれました。店舗奥の試着室へ行き履いてみました。どこも直すことの要らないベストフィッテングです。79-76の79とは,ウエストのcmサイズだったのだとわかり,我が身のことながら,深い感動に襲われてました。以来,購入する服は全て,ユニクロサイズMにしています。

掲載情報

掲載誌天草医報
掲載号2019年9月号
発行ナンバー139
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